住宅ローンを延滞したらどうなるの?(初期延滞編)

住宅ローンを延滞したらどうなるの?(初期延滞編)~前編~

住宅ローンを延滞してしまうと、どのようなことが起きるのでしょうか?
ローンを利用して不動産を購入した場合、

ローン契約通りの約定返済額(月々の定められた返済額)を払っていくことになるわけですが、
ときにはいろいろな事情により支払いができなくなることが起こりえます。

ほんの一時的な事情により約定日(毎月の返済額が引き落としされる日)までにお金を用意できないような場合は、
前もって銀行へ連絡しておけばそんなに問題はありません。

わずかの遅延損害金が上乗せされて入金と同時に返済となります。
遅延損害金の額は、約定返済額の元金部分に対し大半の場合年利14%で計算された日割額です。

たとえば、月々70,000円(元金45,000円 利息25,000円)の返済で、
約定日がN/25日、実際に入金できる日がN/31日の場合、
31-25=6日分の損害金がかかるわけですが、その計算方法は次の通りです。
45,000円×14%×6日/365日=103円
*四捨五入を何円単位で行う等の決まりごとにより若干の違いが出ます。

つまり、約定返済額70,000円と共に
103円の損害金が加算された70,103円が引き落としされるというわけですね。
「たったの103円だけか!」と思われたかもしれません。
確かに金額的には微々たるものですので、
ほんの一時的な遅れであればそんなに心配することはないでしょう。

ただし、実は延滞した方に対するペナルティーはこれだけではありません。
損害金の支払いをしたわけだからこれで問題ないだろうとたかをくくっていると、
予想を超えた部分で問題が発生してくる可能性があります。

では、具体的にどのような問題があるのでしょうか。

① 銀行担当者の心証が悪くなる
たまにどうしてもお金が用意できずに、
銀行に連絡をしたうえで数日間支払いを遅れさせてしまったという程度なら、
銀行も「ご連絡ありがとうございます。次回のご入金はお約定日までに必ずお願いしますね」と
問題ないのですが、あらかじめ伝えた日に入金できなかったり、約定日入金遅れを繰り返したりすると、
銀行担当者も「またこの人か、困ったもんだ」「面倒くさいお客様だな」と徐々に対応は悪化していきます。

銀行とパートナーシップを築くうえでマイナスになり、
例えば、取引の実績を積み上げた上での金利減免交渉などを行う場合には大きな障害となってしまうでしょう。

② 他行への借り換えがやりにくくなる
住宅ローンを利用している場合、
より有利な取引を求めて他行への借り換えを試みる場合も出てくるでしょう。
(借り換えの戦略については別にご案内いたします)

他行へ借り換えの相談をすると、その銀行より取引履歴の開示を求められます。
具体的には、残高証明、返済予定表、引き落とし通帳のコピーの三点を提出しなければなりません。
借り換えの可否を検討する銀行は、返済予定表と通帳の引き落とし日をチェックして、
約束通りの返済が行われているお客さまかどうかを確認するわけですね。
頻繁に約定日遅延の履歴があると、借り換え対象者としては不適格と思われてしまう可能性があるというわけです。

③ 個人信用情報に延滞の履歴が載ってしまう
数日程度の延滞、
それもたまに遅れてしまった程度なら個人信用情報への掲載はそんなに心配することではありませんが、
これも程度によりますし、また金融機関によっても対応は異なります。
それでも個人信用情報への延滞情報の掲載は決してプラスになることではありません。
場合によっては、クレジットカード申し込みの否認の原因になったり、
前にお伝えした他行への借り換えの申し込みにも影響が出る場合もあるでしょう。

このように、初期の住宅ローンといえども、様々な問題があるわけですが、
いづれにしても、銀行から直ちに一括返済を求められたりすることや不動産の売却を迫られることはありません。
この段階であれば、銀行と十分に連絡を取りつつ、
なるべく遅れを発生させない、遅れてしまう場合は前もって銀行へ連絡を入れる、
銀行へ伝えた入金日は必ず守るということを心がけていくようにしましょう。

もしこの状態で、銀行より強硬な交渉
すぐにでも家を売れ、一回でも遅れたらローン打ち切りだ、競売にかけるぞ、等々)を
受けるようなことがあれば、それは明らかに銀行担当者の暴走です。
決して許されることではありません。

あくまでも冷静に、できれば銀行担当者の話す内容を録音し、
その担当者の上司に内容を伝えて対応方法につき改めるように申し入れするべきです。
それでも改善されない場合は銀行の管轄官庁
(銀行ならば金融庁、銀行から委託を受けてサービサーという債権回収会社が対応している場合は法務省、がその相手方です)
申し入れをすると担当者へ伝えてみることも有効な方法です。

たとえ、自分たちに全く非がないケースであっても、
監督官庁より事情を聴取されることは、銀行等にとっては極めてストレスな状況であり、
何とかして避けたいことであるのです。

いったん金融庁から事情のヒアリングを受けると、担当者は、担当役席、支店長と報告書を作成し、
行内コンプライアンスチェックを受けたうえで、担当役員もしくは担当部長名で金融庁へ報告をしなければなりません。

事実を時系列に記録した交渉経緯記録簿を作成し、
報告書と共に法務部、もしくは顧問弁護士のチェックを受けたのちに社外提出文書としての妥当性を検証する行内稟議を経て、
やっと承認されたのちに監督官庁へ提出という手順を踏みます。
監督官庁である金融庁への報告はいい加減なことは書けませんし、金融庁の望む方向以外の対応をしていた場合は、
事実の報告に加え、同様の事象を発生させないための改善点、対応策をも盛り込まなければなりません。
これは銀行にとっては相当に困難なことであり、できることならば避けたいことであるはずなのです。

金融庁等の監督官庁への申し入れは、そういう意味で切り札的な意味合いもありますので、
本当に申し入れするのは相当にひどい扱いをされた場合のみにとどめ、
基本的には銀行との折衝の中で、金融庁への相談することをほのめかす程度がいいかもしれませんね。

また、余談ですが、いきなり金融庁へ相談する前に、全国銀行協会への相談という手法もあります。
全国銀行協会(略して、「全銀協」といわれます)は、
監督官庁ではなく、銀行利用者からの相談や苦情、質問等を受けるための団体として銀行が作った団体です。
そういう意味で銀行にとっては、金融庁より事情を聴かれるよりも、全銀協から聞かれるほうが少々気持ちは軽いかもしれません。

この初期延滞の段階で、ローン利用者が心がけることは、
この延滞が一時的なものなのか、それとも根本的に支払っていくことが困難なのか、
この見極めをすること。これが最も大事なことです。

一時的なことであれば、そんなに心配することはありません。
しかし、将来的にも返済を継続することが難しい、そんな事情がある場合は、別に方針を立てる必要があります。

今の状況を冷静に整理して、対応方針を考えていきましょう。

ご相談はお気軽に。
お問合せをお待ちしております。

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